第287章

川崎正弘には、どうにも説明のつかない胸騒ぎがあった。

 殺人事件の捜査はまだ続いている。野呂栞は柳の木の下で退屈そうに座り込み、どれだけ話しかけても、川崎正弘はもう相手にしなかった。

 そこへ水原刃が歩み寄ってきて、「行くぞ」とだけ言った。

「犯人、見つかったんですか?」

「必要なものは一通り集めた。あとは専門の連中に任せる」

 水原刃は野呂栞を見て、ふと尋ねる。

「野呂嬢、この件、どう見ます?」

 野呂栞が口を開くより先に、川崎正弘が言い放った。

「氷野郎。そいつに聞くくらいなら、その猫に聞いたほうがマシだ」

 猫のほうが、野呂栞よりよほど賢い。

「くそ野郎、どういう意...

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